三重県伊勢市 2006年4月30日、5月1日

 

4月30日

 三重県伊勢市外宮の近くの三郷山はアゲハの類が多く、この時期にはよく出かける。三重県内に生息するアゲハ類のうち、ここにいないのはギフチョウ、ウスバシロチョウそしてオナガアゲハくらいで、整備された遊歩道脇のツツジやサツキの花をゆったりと訪れる姿を観察できる。

 今年は季節のすすみがゆっくりしているので多くの蝶を見るには少し早いと思ったが、例年4月下旬にピークを迎えるミヤマカラスアゲハを目的として出かけることにした。めずらしく中三の娘も一緒に行くという。 

 天気予報では午前中は曇りで午後から晴れ。 朝9時頃に現地に到着したが、空は薄曇りでまだまだ気温も低い。遊歩道の脇のサツキも部分的にしか咲いていない。

 10時頃になってようやく日が安定して射し始めた。高い梢の先にはミヤマカラスアゲハがゆったりと舞っているが、なかなか花の所までは降りてこない。それに対しアゲハやキアゲハは盛んにサツキの花に蜜を求めている。

 娘ももうメインでは使わなくなったデジカメでアゲハやキアゲハを撮影していた。

 

 キアゲハ ナミアゲハ 飛翔 三重県伊勢市
 キアゲハもアゲハもほとんどの個体は新鮮だった。キアゲハにちょっかいを出すアゲハ。この2種類が出会うと、なぜかアゲハの方が強く、キアゲハを蹴散らせてしまう。そういえば去年みたアゲハはさらに大きなモンキアゲハにも負けていなかった。

 ツマキチョウが緩やかに飛ぶ。 

 花にとまったところを撮影すると、もう鱗粉は薄くなっていて春の終わりを感じさせる。

 ルリタテハ♀ 産卵 三重県伊勢市

 薄暗い木陰でサルトリイバラのつるの先の新芽に産卵するルリタテハを見かけた。産み付けられた卵もいくつか見える。昼頃になってもミヤマカラスアゲハはなかなか降りてこないのであきらめて引き上げることにし、伊勢神宮の内宮の近くのおかげ横町で赤福餅と赤福氷を食べて帰途についた。この日、娘がついてきた目的はこれでした。

5月1日

 翌日も再び伊勢市。自宅からは1時間ちょっとで来ることができる。この日は朝からすっきりとした青空、というわけではないがとりあえず晴天である。朝9時頃に現地に着くとすでにミヤマカラスはキアゲハとともにやはり梢の先をゆったりと舞っている。もっと早い時間に食事をするのだろうか。

 遊歩道脇のコナラの幹をまとわりつくようにミヤマセセリが飛んでいた。時折ひこばえに関心があるようなそぶりを見せる。おそらく産卵場所を探しているのだろうが、残念ながら産卵までは確認できなかった。コナラの幹に止まったところを撮影。

 もうサトキマダラヒカゲやヒメウラナミジャノメ、コミスジなども現れており、蝶の世界も春が終わって初夏に近づいている。この日は各地で気温が上がり夏日を記録したところも多かった。

 アゲハやキアゲハは多くの個体が入れ替わり立ち替わりサツキの花を訪れる。それに対してミヤマカラスアゲハはときどき花を訪れるだけで、これでお腹いっぱいになるとは思えない。

 この日は高速道路の夕方の通勤割引を利用すべく、4時頃までは粘ることにしていた。 しかし、なかなか成果が上がらないので、3時頃にはそろそろ引き上げようかと考え始めていた。そのとき傾いた日で影に入ったサツキの花に、不意にミヤマカラスアゲハが舞い降りたのを見た。この時刻になってから日陰の花で吸蜜するのかと気が付き、花は多くあるがもう日は陰ったであろう場所へ移動してみた。するとそこには3〜4匹のミヤマカラスアゲハがサツキを訪れており、ようやくいくつか撮影をすることができた。ただ日陰の花なので飛翔写真にはちょっと光量不足でした。

ミヤマカラスアゲハ♂ 訪花 三重県伊勢市

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