三重県紀北町、大紀町  2007年5月12日 

 標本集めをしていた頃は、一度行った採集地を2度、3度と訪れることはあまり無かったが、写真に切り替えてからは比較的同じ場所を何度も訪れるようになった。この日も、午前中のミカドアゲハと午後からのスミナガシを狙って昨年と同じく紀勢地方を訪れた。

 ミカドアゲハだけならば近くにもっと撮影しやすい場所もあるのだが、三方を山に囲まれた浜辺の静かな神社のこの場所は、私のお気に入りである。ただ、この時期のこの場所には撮影できる花を付ける木が一本しかなくネット虫屋がいればアウトになる。幸いこの日は誰もいなかったので静かに撮影を楽しめた。

ミカドアゲハ飛翔 三重県紀北町

 タチバナの花も最盛期には少し早い感じで、蝶の個体数も多くなかったので昼前には大紀町へ移動することにした。

 約1時間の急坂を登って山頂にたどり着くと、昨年と同様にアオバセセリが占有行動をしている。ただこの蝶はあまり撮影につきあってはくれず、すぐに山頂から飛び去ってしまった。

アオバセセリ♂飛翔 三重県大紀町

 アオバセセリが去ったあと、しばらくはカラスアゲハが通過するだけの静かな山頂の時間が過ぎていく。 そして午後3時前になって、昨年と同様にスミナガシが登場。山頂の灌木で占有行動をとっている。

スミナガシ♂ 占有行動 三重県大紀町

 昨年に引き続きこの場所に来たのは、海をバックにしたスミナガシを撮影したかったからで、ちょっと変わった雰囲気の写真が撮れそうに思ったからである。蝶は時々飛び立って、いろいろな場所でポーズをとってくれる。とはいえ、なかなか思うような場所には止まってくれず、かなり無理をした体勢で撮影したのが下の写真。 奥の方が太平洋なのだが、海岸線が写っていないのであまりよくわからない。

スミナガシ静止 海背景 三重県大紀町

 しばらくして汗でも吸いたかったのか蝶が私の左腕に止まった。 少し海が見える方へ移動して海岸線が写る角度にして、片手でファインダーをのぞきながら撮影したのが下の写真。もう少し絞れば良かったかもしれない。 まあ、今年はこんなところでよしとして、また来年登ることにしよう。

 もちろん飛翔写真が最大の目的なので、これも何とか撮影。赤い口紅も写し込めた。


 

 約1時間程度、親切に撮影につきあってくれたスミナガシが愛想を尽かしたのか遠くへ飛んでいったので、山を下りることにした。

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