長崎県対馬 2008年9月7日 |
薩摩地方でのタイワンツバメシジミの撮影を切り上げた後、JRで九州を北上し、夜遅く博多に着いた。そこから港まで移動して夜行のフェリーに乗り対馬の厳原へ。ここでの目的はもちろんツシマウラボシシジミそして、海のクロツバメシジミ、いわゆる海クロツである。 当地の昆虫相についてはyohboさんの対馬の昆虫館などに比較的オープンに情報が提供されている。今回はこれを参考にさせていただいた。この場を借りしてお礼申し上げます。 さて自由になる時間は半日ちょっとなので、ツシマウラボシ、クロツとも空港から比較近い豊玉町辺りで捜すことにした。まずは朝早いのでクロツバメを探しに行った。ツメレンゲの場所はすぐに判り岩場に近づくとすぐに一頭新鮮な個体が見つかった。
愛想のいい個体で、ほどなく近くの葉上に移り、開翅してくれた。今日は出だしからきわめて順調。
まだ林道には日も射さないだろうからウラボシを見るにはちょっと早いと判断し、もう一カ所別のクロツポイントを訪れてみた。 まず現れたのはウラナミジャノメ。対馬のウラナミジャノメは別亜種とされ、下のように♂の翅表に性標が強く現れる。
このウラナミジャノメの♀はちょっとくたびれ気味。
ミゾソバの花にはホシチャバネセセリが訪れている。対馬では年2回発生し、海岸に近い草地にも生息していることは知識としてはもちろん持っているのだが、いつもは高原で見かけるこの蝶を改めて海岸で見るとちょっと奇異な感じがする。防潮堤がなければ、本当に海をバックに撮れそうだ。
10時近くになり太陽も高くなってきたので、林道に入ってみることにした。目星をつけていた林道を30分くらい歩き回って、ようやく1頭の♂を発見。この蝶は飛翔は緩やかではあるが、暗いところを飛ぶのでなかなか光の状態がいいところでは撮影できない。
下草の花にとまったところを撮影。確かに可愛い蝶である。
ちょっと翅を開いてくれかけたが、この程度が限度だった。どなたかのブログでもっと拡げている写真を拝見したことがあるが、半日のゲリラ的撮影行ではこんなものだろう。この林道はウラボシが生息するにはちょっと灌木が混み合っているように感じたので、午後からは別の場所を探すことにした。
適当に車で走ってみて、良さそうだと思った林道に入って見ると100mも歩かない内に飛んでいるのを見つけることができた。さらにスギの植林地の斜面では複数で追尾しているウラボシさえ見える。この辺りにはたくさんいるんだろうなと思いながら撮影した。下は新鮮な♀がヌスビトハギを訪れたところ。亜外縁の茶色い帯がはっきり見えるのが嬉しい。
木漏れ日が当たるようなところを選んで飛ぶ個体も見られ、午前中よりは光の条件も良く撮影ができた。ただ直射日光の下では、白い裏面の調子が飛んでしまう。
太陽が傾いてきてスギの斜面も少し暗くなり、ウラボシも少なくなってきた。そこでもう一度、朝に入ったクロツの海岸に寄ってみることにした。一応の写真は押さえているつもりだが、やはり海をバックにしたクロツが撮影したかった。さらに欲を言えば海と食草の生える崖をバックにした飛翔をイメージしていた。 残念ながらクロツの岩場ではちょっと風が出てきており、蝶もあまり飛ばなかったので低い岩場でこの程度しか撮れなかった。
少し横の見上げる岩場にはびっしりとツメレンゲが生えている。こわごわ登ってみるとクロツも時々飛んでくれる。ちょっとボロだったのが残念だったがとりあえず海とツメレンゲの生える岩場をバックにして飛翔する海クロツが撮影できた。
もちろんカメラのアングルをもっと寝かせて水平線をも写し込めれば良かったのだろうが、この場所では程度が限界でした。 一日中、お天気に恵まれて気持ちの良い撮影ができた。
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