三重県名張市  2014年4月12日 ギフチョウ

 三重県に住んでいながら、これまで未だ県内のギフチョウを撮影したことはない。20年ほど以前の記録を頼りに鈴鹿山地の麓は何度か歩いているが空振りを繰り返している。ということでこの日は三重県内ではまだその姿が見られる伊賀地方へ出かけた。この地方のギフチョウは地元では手厚く保護されているが、ここを含む紀伊半島のギフチョウは急速に減少してきてもうほとんど残っていないようだ。

 さて名阪国道を走って目的地近くにつくと、畑の脇の農道から熱気球が飛び立とうとしているのを見た。こんな場所から飛び立つの? ちょっと意外な風景だった。

 少し時間が早いがあらかじめ目星をつけておいた尾根筋に登ってみる。10時頃までは薄曇りで肌寒かったが、次第に日射しが強くなってきた。尾根は意外に暖かく、モワッとした春の香りがするので、いつギフチョウが飛び出してもいい雰囲気になった。

 11時前、ようやく尾根道に一頭の♂が上がってきた。新鮮な個体だった。紀伊半島産のギフチョウの斑紋の特徴として尾状突起の上の外縁のオレンジ紋が跳ね上がる傾向があるが、この個体はそれほどはっきりとはしていないようだ。

 ギフチョウ♂ 静止 三重県名張市
ギフチョウ♂ 静止 三重県名張市 2014年4月12日

 次に現れた個体は、翅の鮮度は悪くないものの前翅に少し難がある。結局このあとしばらく尾根筋に最も長く居座ったのがこの個体だった。

 ギフチョウ♂ 静止 三重県名張市
ギフチョウ♂ 静止 三重県名張市 2014年4月12日

  地面に止まる姿ばかり写しても仕方が無いので飛翔写真に切り替えてみる。

 ギフチョウ♂ 飛翔 三重県名張市
ギフチョウ♂ 飛翔 三重県名張市 2014年4月12日

 時々は2頭がはち合わせして短時間のバトルが始まる。

 ギフチョウ♂ 飛翔 三重県名張市
ギフチョウ♂ 飛翔 三重県名張市 2014年4月12日

  尾根筋にはコバノミツバツツジと足下に少しのスミレがある。ツツジの花には時々は止まるのだが高い枝先で枝葉の中であることが多いことと止まっているのは短時間だったので撮影はできなかった。

 ギフチョウ♂ 飛翔 三重県名張市
ギフチョウ♂ 飛翔 三重県名張市 2014年4月12日

 紀伊半島のギフチョウのもう一つの特徴の後翅中央の黒帯が前縁に向かって太くなるというものがある。この紋は静止や吸蜜など通常では前翅に半分は隠れてしまう。というところで翅に難はあるが展翅したように思いきり翅を拡げた姿を掲載してみた。

 ギフチョウ♂ 飛翔 三重県名張市
ギフチョウ♂ 飛翔 三重県名張市 2014年4月12日

 一度だけ比較的低いツツジで吸蜜するところを撮影できた。といっても見上げる角度なので脚立が無ければ撮影しにくく出来もイマイチ。

 ギフチョウ♂ ツツジ吸蜜 三重県名張市
ギフチョウ♂ 訪花 三重県名張市 2014年4月12日

 ギフチョウは昼過ぎには尾根道から姿を消したので、午後はあちこちの林道、山道を覗いてみるが、なかなかいい環境は無く、個体数が少ない環境で吸蜜する姿を撮影するのは難しいことを痛感した。

  〈戻る〉