2019年3月19〜26日 鹿児島県奄美大島 ナガサキアゲハほか
           

 今回の密かな目的の一つにナガサキアゲハの有尾型を撮影することがあった。残念ながらナガサキアゲハは最盛期を過ぎており、欠けた♂個体が多かった。有尾型のような外国由来と考えられる遺伝子を持つような個体は、♂であっても日本土着のものとは後翅表の青色の鱗粉密度や裏面の斑紋が違うとのことだったのでボロであってもできるだけカメラを向けて見た。しかし残念ながらそのような個体を見ることはできなかった。

 この場所のタンカン畑はまだ開花前だったが、ジャスミンの甘い香りがあたりに漂っていた。それでも意外に訪れる蝶は少なく、横にある真っ赤なハイビスカスの方に惹かれる蝶が多かった。人間の感覚とはだいぶ異なるようだ。

ジャスミンで吸蜜するナガサキアゲハ♂ 奄美大島龍郷町 2019年3月19日
ジャスミンで吸蜜するナガサキアゲハ♂ 奄美大島龍郷町 2019年3月19日 

 この♂は翅表の青色の鱗粉の発達もそれほど良くは無い。

飛翔するナガサキアゲハ♂ 奄美大島宇検村 2019年3月20日
飛翔するナガサキアゲハ♂ 奄美大島宇検村 2019年3月20日

 裏面も普通に見るタイプ。

タンカンで吸蜜するナガサキアゲハ♂ 奄美大島宇検村 2019年3月20日
タンカンで吸蜜するナガサキアゲハ♂ 奄美大島宇検村 2019年3月20日

タンカンで吸蜜するナガサキアゲハ♂ 奄美大島宇検村 2019年3月20日
タンカンで吸蜜するナガサキアゲハ♂ 奄美大島宇検村 2019年3月20日

 ♂は各所で10頭以上は見たと思うが♀の目撃は一度だけ、しかも前翅だけしかないような大ボロの個体だった。ところが図鑑によると有尾型の遺伝因子は腹部側面の黄色の出現形質と完全連携に近い関係にあるという。ということからすると腹部側面が黄色いこの大ボロの♀は後翅は無いものの有尾型である可能性が極めて高いことになる。この写真を見せて「有尾型のナガサキアゲハを撮影した」などとは、とてもいえませんが・・・。

飛翔するナガサキアゲハ♀ 奄美大島宇検村 2019年3月20日
飛翔するナガサキアゲハ♀(たぶん有尾型) 奄美大島宇検村 2019年3月20日

 モンキアゲハは各所で最も多く見られたアゲハだった。しかもタンカンの花を訪れる他のカラスアゲハなどを見境なく追いかけ回したりするので、ちょっと厄介者に感じた。

タンカンで吸蜜するモンキアゲハ♂ 奄美大島龍郷町 2019年3月26日
 タンカンで吸蜜するモンキアゲハ♂ 奄美大島龍郷町 2019年3月26日

飛翔するモンキアゲハ♂ 奄美大島龍郷町 2019年3月26日
飛翔するモンキアゲハ♂ 奄美大島龍郷町 2019年3月26日

 下は♀であるが、後翅表の赤い弦月紋が鮮やかなきれいな個体だった。

タンカンで吸蜜するモンキアゲハ♀ 奄美大島龍郷町 2019年3月26日
タンカンで吸蜜するモンキアゲハ♀ 奄美大島龍郷町 2019年3月26日

 こういう個体ならばモンキアゲハであっても充分にカメラを向ける価値がある。

飛翔するモンキアゲハ♀ 奄美大島龍郷町 2019年3月26日
飛翔するモンキアゲハ♀ 奄美大島龍郷町 2019年3月26日

 奄美の海岸を背景に飛翔する姿を狙ったが蝶の姿がイマイチで企画倒れ。

海を飛翔するモンキアゲハ♂ 奄美大島龍郷町 2019年3月24日
海を背景に飛翔するモンキアゲハ♂ 奄美大島龍郷町 2019年3月24日

 これ以外のアゲハはナミアゲハを宇検村で一回目撃したほか、各所ですでに盛期を過ぎてボロが目立つジャコウアゲハを多く目撃した。

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