２０１９年５月３０日　三重県いなべ市　ウスバシロチョウ　　　　　　　　　 　

　三重県のウスバシロチョウは鈴鹿山地北部の一部地域だけに生息している。特に黒いとか白いとか変わっているわけでは無く、広く分布する滋賀県側から伸びた生息地が三重県に引っかかっているという程度のものである。鈴鹿山地の滋賀県側は谷が緩やかで本種の生息に好適な環境なのに対し、三重県側は急な斜面となっていて食草なども生えにくいのだろう。

９時過ぎに現地へ到着して撮影を始めた。すでにウスバシロチョウは活発に飛びまわっており、なかなか止まらなかった。


半開翅するウスバシロチョウ♂　三重県いなべ市　2019年5月30日

 一頭の♀が草地におり、歩き始めるのを見つけたので急いで撮影した。花はほとんど無いので開翅などの姿を撮影する機会は少なかった。


開翅するウスバシロチョウ♀　三重県いなべ市　2019年5月30日

　この♀は草の根元に潜り込んで産卵をするかのような行動を取ったが、卵までは確認できなかった。草地にはところどころにムラサキケマンが生えていた。


草の根元にもぐるウスバシロチョウ♀　三重県いなべ市　2019年5月30日

　埋もれるように咲くタンポポでの吸蜜を確認した。


吸蜜するウスバシロチョウ♂　三重県いなべ市　2019年5月30日

　またこの付近に外からの進入で問題となっているハルサキヤマガラシで吸蜜する姿を何度か見かけた。これ以外に目立つ花は無いのだが、こういうのを見ていると体が大きなウスバシロチョウは本来はどのような花で吸蜜していたのだろうかと思ってしまう。


吸蜜するウスバシロチョウ♂　三重県いなべ市　2019年5月30日

　ここのウスバシロチョウの撮影目的は主に飛翔する姿をとどめることなので、基本的には飛翔用カメラを持ち、状況に応じて静止用に持ち替えた。
　　

飛翔するウスバシロチョウ♂　三重県いなべ市　2019年5月30日


飛翔するウスバシロチョウ♂　三重県いなべ市　2019年5月30日

明るい草原の上を飛ぶので、広角で狙うと天気の良い日は気持ちの良い撮影ができる。


飛翔するウスバシロチョウ♂　三重県いなべ市　2019年5月30日


飛翔するウスバシロチョウ♂　三重県いなべ市　2019年5月30日


飛翔するウスバシロチョウ♂　三重県いなべ市　2019年5月30日


飛翔するウスバシロチョウ♂　三重県いなべ市　2019年5月30日


飛翔するウスバシロチョウ♂　三重県いなべ市　2019年5月30日

　下が最も撮りたかった構図の写真。こういう青い空をバックに飛ぶウスバシロを撮るために快晴の日を選んだ。


飛翔するウスバシロチョウ♂　三重県いなべ市　2019年5月30日

「三重県のウスバシロは高山蝶だ」とも言われているが、まさにその通りでポイントに到達するためにはかなりの汗をかく必要がある。以前は低標高の谷筋にも発生地があったのだが、木が茂ったためにいなくなった場所も多いようだ。
　とはいっても今でも車横付けの安直ポイントもある。ところが数日前にそこを訪れたところ、以前はもっと茂っていた草もほとんど無くなっており、改めて鹿害の酷さを目の当たりにした。もちろん適当な花も無いので、地面にへばりつくような小さなカタバミの花で吸蜜を繰り返すウスバシロチョウに哀れさをも感じた。


カタバミで吸蜜するウスバシロチョウ♂　三重県いなべ市　2019年5月25日

　撮りたい蝶が他にも多くあるこのシーズンの好天の日に、平凡なウスバシロチョウの撮影に出かけた。三重県に住んでいるので、地元の蝶をおさえておきたいというのが一番の理由だが、山に登る必要があるので体が元気なうちがいいだろうということも考えた。そういう観点からするともう一種類、県内ではこの付近だけにいる蝶がいるのだが、こちらの方は相当な難物のようなのではたして撮影できるかどうか。

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