2020年4月4日 福井県南越前町 ギフチョウ

 今年はまだギフチョウを見ていない。暖冬のせいで北陸低地のギフチョウはもう終盤のようだが、3年ほど前まで何度か通っていた場所へ出かけたみた。かつて何度も撮影した雑木林の林床は、以前に比べてカタクリの花が大幅に減少していた。やはり鹿の害なのだろうか。

 歩き始めて最初にみた個体はタネツケバナで吸蜜した。クモマツマキチョウならともかく、ギフチョウのタネツケバナでの吸蜜は初めて見るので新鮮だった。

タネツケバナで吸蜜するギフチョウ♂ 福井県南越前町 2020年4月4日
タネツケバナで吸蜜するギフチョウ♂ 福井県南越前町 2020年4月4日

 カタクリが減った分、他の花で吸蜜する個体を多く見かけた。道ばたで咲いているスミレでは吸蜜する個体を何度もみることができたが、花の位置が低くてうまく撮影できない。

スミレで吸蜜するギフチョウ♂ 福井県南越前町 2020年4月4日
スミレで吸蜜するギフチョウ♂ 福井県南越前町 2020年4月4日

 ナガバモミジイチゴでも吸蜜する姿を何度か見かけたが、この花は下を向いて咲くので、蝶との角度が取れずうまく写せなかった。

ナガバモミジイチゴで吸蜜するギフチョウ♂ 福井県南越前町 2020年4月4日
ナガバモミジイチゴで吸蜜するギフチョウ♂ 福井県南越前町 2020年4月4日

ナガバモミジイチゴで吸蜜するギフチョウ♂ 福井県南越前町 2020年4月4日
ナガバモミジイチゴで吸蜜するギフチョウ♂ 福井県南越前町 2020年4月4日

 羽化直後と思われる♀が林から飛び出したと思うと落ちるようにして止まり、地面の葉陰の小さい白い花でしばらく吸蜜した。急いでカメラを向けたが大ボケになったのが残念だった。もう少しピントが来たショットもあるのだが、蝶が花に覆いかぶさっているので、何がなにやらわからない。こういう花への吸蜜はみたことがないので酷い写真なのだが掲載しておく。この花はハコベの仲間かと思っていたが、葉を見るとイチゲの仲間のようにも見え、結局よくわからない。この個体は羽化直後の♀らしいが、そういう個体はとりあえず吸蜜できそうな花なら何でも飛びつくのだろうか。3年前の広島でも羽化直後の♀が近くにあったヒサカキに飛びついて吸蜜するのを見ている。

イチゲ?で吸蜜するギフチョウ♂ 福井県南越前町 2020年4月4日
イチゲ?で吸蜜するギフチョウ♂ 福井県南越前町 2020年4月4日

 イカリソウでも吸蜜する個体を見かけた。蝶にも吸蜜する花に好みがあるようで、カタクリが好きな個体はイカリソウにはとまらない。またイカリソウが好きな個体はイカリソウばかりにとまるようだ。

イカリソウで吸蜜するギフチョウ♂ 福井県南越前町 2020年4月4日
イカリソウで吸蜜するギフチョウ♂ 福井県南越前町 2020年4月4日

イカリソウで吸蜜するギフチョウ♀ 福井県南越前町 2020年4月4日
イカリソウで吸蜜するギフチョウ♀ 福井県南越前町 2020年4月4日

 日が傾いて活動終了前になると吸蜜に来る個体が多くなるので、カタクリの花の前で待ちかまえて撮影した。

カタクリで吸蜜するギフチョウ♂ 福井県南越前町 2020年4月4日
カタクリで吸蜜するギフチョウ♂ 福井県南越前町 2020年4月4日

 カタクリの花もまだきれいなものが多く、夕刻でも花びらが反り返っていないので蝶とのバランスがよい写真が撮れた。

カタクリで吸蜜するギフチョウ♂ 福井県南越前町 2020年4月4日
カタクリで吸蜜するギフチョウ♂ 福井県南越前町 2020年4月4日

 終了直前に♀が吸蜜に訪れた。低い位置だったので急いで地面に腹ばいになって撮影したが、カタクリに垂れ下がった蝶を水平には撮影できなかった。

カタクリで吸蜜するギフチョウ♀ 福井県南越前町 2020年4月4日
カタクリで吸蜜するギフチョウ♀ 福井県南越前町 2020年4月4日

 前日は撮影仲間によって新鮮な個体が撮影されていたが、この日はスレが目立ってきていて、特に♂はアップに耐えられる個体の撮影はできなかった。やはり天気の良い日に飛びまわると、すぐに翅が傷むのだろう。私の撮影記録では蝶の鮮度や構図にそれほど高いレベルのものを求めているわけでもないのだが、さすがに今回の写真は不満のものが多い。それでもふだん撮影したことがないような変わった花への吸蜜をみることができて、興味深い一日だった。
また杣山に近い場所でもあるので、いわゆる杣山型と遭遇することを期待しているのだが、やはり今年もダメだった。

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