ゴマシジミ
Phengaris teleius
ゴマシジミもアサマシジミと同様で日本産との関連が面白い種であり、撮影には力を入れた。図鑑によると日本産のゴマシジミは(1)北海道〜東北、(2)本州中部(3)北アルプス、白山のなどの本州高地(4)中国、九州地方産の4亜種に分けられる。モンゴルの本種は
ssp. euphemia
とされている。 撮影時の印象では、翅表は中部本州亜種の
ssp.kazamoto
に近い印象を受けた。ただ日本の
kazamoto
でもたとえば翅の青さの変異は幅広く、真っ黒いものから青いものまであり、またその青さも微妙に異なるなど一口には表現できない。モンゴルの本種もそれと同じように様々な変異を見ることができた。また裏面は白山あたりで見る山ゴマに似た雰囲気もある。
最初は、リンドウの花に静止する個体。
ゴマシジミ♂ 静止 テレルジ 2017年7月6日
以下、何枚か撮影できた♂の開翅写真を並べてみる。
この個体は青い鱗粉が散布されている面積は広い方である。しかしその密度は薄い。
ゴマシジミ♂ 静止 テレルジ 2017年7月6日
後翅の青い鱗粉密度が前翅よりも濃い個体。このように後翅の青い鱗粉が前翅より密度濃く乗っているシジミは、モンゴルでは他にもチョウセンヒメシジミやルシファーヒメシジミなどにも見られる。
ゴマシジミ♂ 静止 テレルジ 2017年7月6日
下の個体などは本州中部のものとあまり変わったところはない。ちなみにモンゴルの草原ではワレモコウが大量にあり、アリの確認まではしていないが生息できる場所は相当広いと思われる。
ゴマシジミ♂ 静止 テレルジ 2017年7月7日
ゴマシジミ♂ 静止 セレンゲ県バーウアンバーン 2017年7月5日
下は青い鱗粉が殆どない個体。
ゴマシジミ♂ 静止 テレルジ 2017年7月6日
2024年に撮影した個体は、北海道で見るような青色が広い個体だった。
ゴマシジミ ♂ 静止 テレルジ 2024年6月19日
♀は長野県の松本市でみるような真っ黒い個体。こういう幅広い変異をもつ個体群である。
ゴマシジミ ♀ 静止 テレルジ 2024年6月29日
この個体が2017年に撮影したうちで最も青い鱗粉の面積、密度とも濃かった♂。露出がアンダーだったので少し補正を強くしている。
ゴマシジミ♂ 飛翔 バヤンチャンドマン 2017年7月1日
飛翔する姿。このような草原や疎林など様々な場所に生息している。
ゴマシジミ 飛翔 バヤンチャンドマン 2017年7月1日
これは真っ黒な個体でおそらく♀。
ゴマシジミ 飛翔 バヤンチャンドマン 2017年7月1日
下はゴマシジミの求愛行動。やや青い♂と真っ黒な♀の組み合わせ。
ゴマシジミ 求愛飛翔 テレルジ 2017年7月7日
ゴマシジミ 飛翔 テレルジ 2017年7月7日
夕方に見つけた休眠姿勢をとる個体。
ゴマシジミ 静止 テレルジ 2017年7月6日
ゴマシジミが飛んでいた斜面のワレモコウに登っていたアリ。このアリの巣の中で大きくなるのだろうか。
ゴマシジミの亜種区分は単に翅の青さだけでは区別できないので、他にも識別点があるんだろうけどイマイチ良くわからない。
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