浅間山系 湯ノ丸山〜烏帽子岳 2004年7月19日
実に半年ぶりの撮影記である。
この間、撮影に出なかったわけではないが、あまり印象に残る撮影行が無かったのでちょっと間があいてしまった。
さて、この時期は北アルプスでオオイチモンジを狙うつもりだったが、あいにくの空模様ということで目的を変更して浅間山系のミヤマモンキチョウを見に行くことにした。この山系のミヤマモンキは30年以上会っていない。
浅間山山系の湯ノ丸山の情報はネットで見たことがあり、概要は記憶していた。しかし今年は発生が早く、すでに時期を逸していることも同じくネット情報で承知していた。朝6時、湯ノ丸山の地蔵峠に車をおき、ゆっくり登り始める。西の空にほんの少し青空が覗くだけで一面の曇り空である。あいにくの天候ということで、はやる気持ちもなくゆっくり歩いて一時間弱で湯ノ丸山頂上に着いた。あいかわらず雲が広がってはいるが、西の方の空は薄くなってきているので期待を込めてしばらく待つことにした。
 8時頃、ようやく薄日が差してきたので、山頂周辺を歩き始める。湯ノ丸山から角間山に続く尾根の群馬県側には軟らかそうな草原が広がっている。また長野県側にはごつごつとした岩とあまり背が高くない針葉樹が所々生えており、その間に食草のクロマメノキが群落を作っている。先にご夫婦で撮影されている方がおられたのでちょっとご挨拶をして状況を伺う。「そこにいますよ」と指さされた先にミヤマモンキの雌が止まってい
るのを見た。実にあっけない再会であった。 それとともに、その鮮度からやはりもう遅かったのかということを確認した。


          ミヤマモンキチョウが飛ぶ尾根


   ミヤマモンキの雄はだいぶすれていて縁毛のピンクは消えている


           ミヤマモンキチョウの雌

尾根道を歩いていくと、ぱらぱらとミヤマモンキの黄色い雄や、白い雌が飛び出す。時々飛んでいるやや大きめのものは、ミヤマのモンキチョウでありちょっと紛らわしい。
 クロマメノキの群落上では、雌が盛んに産卵している。何枚かの写真が撮れたような気がしたので一応よしとした。次はミヤマシロチョウを探すことにする。この蝶とも30年以上会っていない。

こちらはポイントを良く知らなかったので湯ノ丸山の山頂から蝶友に携帯でもしもし。無粋であることこの上ないがこういうときは非常にありがたい、
蝶友にも携帯にも感謝。情報を得て、湯ノ丸から烏帽子岳へと向かう。目指すポイントについたときは曇ってきていたので、しばらくはヒメシジミなどを撮影して晴れ間を待つ。


       烏帽子岳を望む。ミヤマシロが飛ぶ草地

そうこうする内に日が射しはじめ、ようやく1匹のミヤマシロチョウが飛び出す。草原の斜面を50mくらい駆け下ってようやく追いつき、とにかく撮影した。さらに青空が広がってきた。気がつくと、斜面の下の方の灌木の周りに何匹ものミヤマシロチョウが飛び交っているのが見える。


      草原を緩やかに舞い飛ぶミヤマシロチョウ

食樹の周りをまとわりつく雌もいる。もともと緩やかに飛ぶ蝶なのでこういう場面に出会うと撮影もたやすい。

ミヤマシロチョウの求愛行動を2回目撃したが、他の蝶には見られないほど雄は執拗である。雌は交尾を数分間も拒否しているのに、雄は雌から離れようとしない。この蝶の雌の羽の表は鱗粉がとれて薄くなっているが、その理由はこの雄の行動にあるのであろう。


     ミヤマシロチョウの求愛行動−雌は拒否しているが
     雄は雌の背中に馬乗り?になったまま数分間も離れない

ややすれてはいたが、たくさんのミヤマシロチョウを見られたので、昼過ぎ、満足して烏帽子岳を後にした。
帰りにまた湯ノ丸山へ上るのはきついので、山腹を巻く平坦なルートをとった。途中、林の中に一カ所開けたところに数匹のミヤマシロチョウがいる場所があった。こういうところにもいるのかと思いながら地蔵峠への帰路を急いだ。

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