千葉県君津市 2008年8月23日

 8月下旬の千葉県君津市というと、もちろんルーミスシジミが頭に浮かぶが、曇一時雨の予報では、もちろんねらいはこの蝶ではない。どんよりと曇った空を見上げながら現地に向かった。

 現地に着いて最初に見たのはクロコノマ。ややすれた個体が道ばたに止まっていた。この蝶を撮影ししばらく歩いたあと目的の蝶を一匹見かけたようなのだが、遠目でありイマイチ自信がなかった。あいかわらずの曇空で、蝶の姿自体が少ない。

 クロコノマチョウ
           林床に静止するクロコノマチョウ ♂

 かろうじて目にするのはヒメウラナミジャノメやヒメジャノメ、あるいはコジャノメもいたかも知れない。いずれも地味な蝶ばかり。ムラサキシジミをみつけるとまじまじと裏面を眺めてしまうが、もちろん穴があくほど見つめてもムラサキシジミであることに代わりはない。

ヒメウラナミジャノメ
              ヒメウラナミジャノメ ♂ 静止

 そして、ようやく目的の蝶が現れた。そうヤマキマダラヒカゲの房総半島亜種。ネットを持って採集していた頃の25年以上前の春に一度だけ採集に来たことがある。その姿があまりに変わっていたのが非常に印象に残っている。あまり一般受けしないマニアックな蝶ではあるが、かといって関東にいなければわざわざ遠くから見に行くほどのものでもない。

 発生していることが確認できたので、辺りを歩き回ってみたが、他には姿が見られなかった。そこで、仕方がないので先ほどそれらしい姿を確認した場所に戻ることにした。歩いていると雑木林の周りのヒノキの枝先を飛び回る姿は時々見るのだが、蝶が集まる樹液のようなポイントが無く、ヤマかサトかを確認するまでには至らない。 

 多分そうだろうと思って、今日は準備万端、黒砂糖を溶かした糖蜜と、焼酎を持ってきている。手近なコナラの幹に蜜を振りかけ、霧吹きで焼酎をまいて、しばらく待っていると予想通り林の中からキマダラヒカゲが登場。

 緩やかに飛ぶ個体で、飛翔も撮影できた。


           サトキマダラヒカゲ 飛翔

 しかし止まったところをよく見ると下の写真のようにどうやらこれはサトキマダラヒカゲのようだ。すると先ほどから辺りを飛んでいるのもそうなのだろうか。

サトキマダラヒカゲ
         サトキマダラヒカゲ ♂ 静止

 仕方がないので、もう一度先ほどの場所に戻って、そこでも糖蜜での誘引を試みる。しかしその頃から風が出てきてしまった。これでは焼酎を撒いても効果はない。

 ふと見上げたクリの枝先に止まっている個体を見つけたが、これはサトなのだろうかヤマなのだろうか、写真だけの絵合わせ同定ではイマイチ自信がもてない個体だった。

サトキマダラヒカゲ
       サトキマダラヒカゲ ♂ 静止

 当地ではヤマとサトでは微妙に発生期がずれると言うこともあり、鮮度を含めて下のような個体ならばあまり迷うことはないのだろうけど、写真だけで判断するのはなかなか難しい。

 昼前になって天気予報通りポツポツと雨が降り始めたので、現地を離れた。モンキやナガサキ、ジャコウアゲハも目撃したが、今日撮影したのはヒカゲモノばかりだった。

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