三重県尾鷲市 2012年5月27日 キナンウラナミアカシジミ 

 今シーズンはウラゴマダラシジミの翅表の美しさを再認識し、かなり熱心に撮影に出かけた。自宅付近の発生地はまだこれからが最盛期だが明るくて美しいといわれる三重県南部産はピークを過ぎたので、ひとくぎりすることにした。

 ということで27日は尾鷲市のキナンウラナミアカシジミ(ウラナミアカシジミの亜種)を見に行った。この亜種は紀伊半島南部に生息するが、多雨地帯として知られる大台ヶ原の麓の急峻な渓谷から熊野灘の海岸そいまでウバメガシの自生地に生息している。尾鷲あたりはその発生が一番早い場所の一つである。

 現地に着き、長い竿でウバメガシの林の枝先を軽く叩いてみると、ぽつぽつとこの蝶が飛び出す。たいがいはそのままもっと高いところに飛び去ってしまうが中には低いところに降りてくれる個体がいる。

ちょっと遠目だったが、♂とおぼしき個体を撮影。

ウバメガシの枝先に静止するキナンウラナミアカシジミ♂ 三重県尾鷲市 2012年5月27日
ウバメガシの枝先に静止するキナンウラナミアカシジミ♂ 三重県尾鷲市 2012年5月27日

なおも歩いていくと今度は新鮮な♀を撮影できた。写真に撮るとよくわからないが、野外で見るといわゆる原名亜種に比べて一回り小さくまた尾錠突起が長いのでその雰囲気はかなり異なる。この日は海から吹き上げる風が強く、枝先が小刻みに揺れてなかなかピントが決まらない。下の写真は左手でウバメガシの枝を固定して撮影している。そのため蝶の体は揺れていないが、尾錠突起が小刻みに揺れている。

ウバメガシの葉陰に静止するキナンウラナミアカシジミ 三重県尾鷲市 2012年5月27日
ウバメガシの葉陰に静止するキナンウラナミアカシジミ 三重県尾鷲市 2012年5月27日

 少し広角で撮影してみる。これだと尾錠突起のぶれは気がつかなくなるかな。

キナンウラナミアカシジミ♂静止 三重県尾鷲市 2012年5月27日
キナンウラナミアカシジミ♂静止 三重県尾鷲市 2012年5月27日

 この日は風が強く、気温もあまり上がらない涼しい日だった。そのためか活動は不活発で活動時間になっても飛ぶより枝先に止まっている時間の方がずっと長かった。おかげで飛翔写真はおあずけ。

 これだけでは寂しいので・・・。下は尾鷲市の風景。火力発電所の高い鉄塔が象徴的。ちなみにこの場所は今回の蝶の撮影場所ではありません。

 またこの植物はイヨカズラ、別名スズメノオゴケというガガイモ科の草本。最近は三重県でのアサギマダラの新食草として知られるようになったらしい。

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