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静岡県浜松市 2013年05月31日 ベニモンカラスシジミ |
この日は休みを取って静岡県のベニモンカラスシジミの撮影に出かけた。朝早い時間に現地に到着したので周りの沢を詰めたり斜面を登ってみたりして環境の状況を把握してみた。この蝶はウツギに訪花している写真が印象に残っているが、この花はまだほとんど咲いていなかった。「まだ未発生、少し早すぎ?」とも思ったが、先週すでに南信濃で撮影されているのでそんなはずはないと思い直して蝶の出現を待ってみた。この場所は昨年も撮影されている実績の有る場所なのだ。 9時少し前、見ている繁みの上を飛ぶベニモンカラスを見つけることができた。昨年も一瞬だけ見かける機会はあったがじっくりと野外でこの蝶を見るのは初めて。かなり遠いところだったので300o×1.4テレコンを付けてようやく小さく写すことができた。
蝶はこの場所でテリトリーを張っており、飛び立っては元の場所の近くに戻ることを繰り返している。そこで蝶が飛んでいっている短い間に繁みに接近し、じゃまになる枝葉をだんだんと取り除いて撮影がしやすい様に掃除をした。こうして300oでかなり大きく撮影できるようになった。この蝶は静止時に太陽に向けて体を傾けるので、このような感じになった。
この蝶は静止時は翅を開かないのでトレードマークの赤い斑紋を撮影できない。そこで飛翔写真を主体に狙うことになる。この個体がいつまで撮影につきあってくれるかもわからないので、保険を掛ける意味で広い範囲が写る100oでの撮影を始める。
100oの撮影で姿を捉えられたようなチャンスが何度か有ったので、次第に長焦点に切り替えていく。この蝶は静止時間は長いのだが、飛ぶタイミングはわかりやすいので飛翔を狙うための緊張感は保ちやすい。ましてパスト連射では楽勝ものだろう。飛翔のタイミングの一つは、同種、別種を問わず別の蝶などが接近すると直ぐにスクランブル発進する。ダイミョウセセリくらいを相手にするのならばわかるのだが、自分の何十倍もあるような、たとえばオナガアゲハを相手に飛び立つときはどの様なことを考えているのだろうか?単なる反射的な行動なのだろうか。下はイチモンジチョウ相手に飛び出した場合。また、それとは別に自発的に飛ぶときには、直前に動きが激しくなり、小さな移動をした後に飛び立つ。
テリトリーを張っている所に別の個体が侵入すると、卍飛翔が始まるが、持続時間は短く直ぐどこかへ行ってしまう。
テリを張っている♂ばかりに注意していたら、突然足下に♀が飛来した。少し白線が流れた個体だった。この後、下草の間を縫うようにして飛び去ってしまった。
ベニモンカラスの飛翔写真でイメージしていた写真は、下のように両翅をいっぱいに広げてベニモンがきれいに写っているもの。この写真はちょっと気に入っている。
近くにあるコバノクロウメモドキには時々♀が訪れる。下は先ほどの個体とは別のもの。
食樹の枝先にとまって、しきりに腹端を押し当てている。でもこのときは卵を確認できなかった。
下はこの体勢で数十秒間の時間があったので、おそらく産卵がなされたと思うが、少し離れた場所だったので確認はできなかった。
こうしてテリトリーを張る♂を主に狙いながら、時々訪れる♀を気にして楽しい撮影時間を過ごすことができた。
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