2016年6月1日 三重県松阪市 ベニモンカラスシジミ・ツマジロウラジャノメ

 6月1日、三重県松阪市の林道を歩いてみた。ここは時々歩いているのだが、だんだんと麓の方の伐採が進み、谷が荒れてきているような気がする。急な斜面に作られた林道は落石や、部分的にな崩壊で歩きにくい。この日は意外に風が冷たく、日射がなかった午前中は寒くさえ感じられた。



 昼前になって日射しが出て来るようになると、ポツポツと蝶が飛び出すようになった。6月になったばかりだというのに、すでに新鮮なヒオドシチョウやテングチョウも飛んでいる。

岩壁に止まるヒオドシチョウ 三重県松阪市
   岩壁に静止するヒオドシチョウ 三重県松阪市

岩場ではツマジロウラジャノメの♂が飛んでおり、時々岩の上に止まるのを撮影できた。この蝶を三重県で撮影するのは初めて。新鮮な個体であり、白い縁毛が印象的だった。


ツマジロウラジャノメ♂の開翅 三重県松阪市
     岩壁に静止するツマジロウラジャノメ♂ 三重県松阪市

ツマジロウラジャノメ♂静止 三重県松阪市
     静止するツマジロウラジャノメ♂ 三重県松阪市

 岩棚のニガナの花で吸蜜したが、手前の草が邪魔で少しアングルが悪かった。現地で会った人によると♀もすでに発生していたとのこと。

ツマジロウラジャノメ♂ ニガナ吸蜜 三重県松阪市
    ニガナの花で吸蜜するツマジロウラジャノメ♂ 三重県松阪市

 午後になったのでクロウメモドキのところで待っていると、期待通りにベニモンカラスシジミの♀が現れた。最初は近くの灌木上の葉に止まり、次第にクロウメに接近してくる。


ベニモンカラスシジミ♀ 静止 三重県松阪市
     静止するベニモンカラスシジミ♀ 三重県松阪市


 しばらくするとコバノクロウメモドキの葉先に飛び移り、腹端を曲げながら次第に樹幹の方へ移動した。

ベニモンカラスシジミ♀ 静止 三重県松阪市
    コバノクロウメモドキの枝先に飛び移ったベニモンカラスシジミ♀ 三重県松阪市

 しばらく歩き回った後、比較的太い枝との分岐点で腹を曲げてしばらく静止した。おそらく産卵していたものと思うが高い場所なので卵までは確認できなかった。あいかわらず風が吹いて枝を揺らすので母蝶も居心地が悪そうだったし、撮影するにも被写体がぶれてなかなか決まらない。少し強い風が吹いた時、食樹から離れて近くの葉上へ飛び移りどこかへ飛んで行ってしまった。

ベニモンカラスシジミ♀ 産卵 三重県松阪市
   コバノクロウメモドキで産卵をするベニモンカラスシジミ♀ 三重県松阪市

 その後もしばらく待ってみたが、母蝶が戻ってくることはなかった。林道を降りる帰り道、吸蜜する個体を求めて満開のウツギの花をチェックしながら歩いたが、あまりに多く咲いているので見つけられる気がしない。

今回、初めて三重県のベニモンカラスを撮影することが出来たのがうれしかった。これまでこの蝶の撮影は静岡県や長野県まで出かけていたが、そこでの環境や生態に関する知識が仲間うちで蓄積されたことがそのベースにあることは言うまでもない。

  〈戻る〉