2019年6月1日 静岡県浜松市 ベニモンカラスシジミ
今シーズンはベニモンカラスシジミのいい話はあまり聞かないのだが、好天のこの日、静岡県浜松市の産地へ出かけた。ここは撮影仲間が毎年訪れており、いわゆる定点観測のように発生状況を確認している。
現地に到着して驚いたのは、あたりのウツギの花が全く咲いていないこと。このウツギはこの付近で最も早く開花する株だと思っているのだが、それでもツボミが膨らんだ程度だった。この花の開花はベニモンカラスシジミ発生の目安になる。 ![]() ベニモンカラスシジミの出現を待つ間には、いろいろな種類の蝶が現れた。特に目についたのはミスジチョウとテングチョウ、オナガアゲハなど。ベニモンカラスシジミは早い時なら8時になると♂が現れるのだが、この日は10時をすぎてもその姿は見られなかった。 他の蝶が多く飛ぶような好条件なのにベニモンは見ないし、ウツギは全く開花していないことから「この日は未発生か」と考え始めていた。 ![]() 静止するテングチョウ 静岡県浜松市 2019年6月1日 未発生ならば他の場所へ転戦しようと、もう一度食樹のクロウメモドキを眺めると、枝の真ん中にちょこんと止まっているベニモンカラスを見つけた。朝からずっと木の周りを見張っていたつもりだったが、全く気づかなかった。 ![]() 静止するベニモンカラスシジミ♀(以下同一個体) 静岡県浜松市 2019年6月1日 遠かったので300o+1.4×テレコンで撮影したが、後翅の白線が流れた新鮮な♀だった。この蝶は県境を挟んだ長野県側でも見られるが、こういう白線が流れた個体は静岡県側の方が多いようだ。 ![]() 静止するベニモンカラスシジミ♀ 静岡県浜松市 2019年6月1日 しばらくこの蝶の動向を見ていたが、約一時間後に小飛して枝先を移動したので、右後翅の白線の様子も撮影できた。 ![]() 静止するベニモンカラスシジミ♀ 静岡県浜松市 2019年6月1日 このあとさらに食樹の茂みに潜り、腹端を曲げて産卵行動を取った。残念ながら高いところだったので、卵までは確認していない。 ![]() 産卵するベニモンカラスシジミ♀ 静岡県浜松市 2019年6月1日 この♀は産卵後数分経って、何処かへ飛んでいってしまった。産卵後の開翅も少しは期待したのだが残念。 ♂を見ないのは環境の変化でテリを張る場所が移動したものだと考えられるが、ウツギも咲いていないのにすでに一頭だけだが♀の産卵を見るとはちょっと異様である。個体数も少ないし、ここも先行きあまり楽観できない。 〈戻る〉
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