2020年5月28日 長野県阿南町 ベニモンカラスシジミ
長野県阿南町でのベニモンカラスシジミの情報をいただき、撮影仲間数名で調査を行った。特に5/28〜30は天候も良く、♂♀とも観察できた。
ベニモンカラスシジミのテリ張りの様子は、静岡県浜松市や飯田市で概略つかんでおり、朝まだ早い時刻からテリを張り始めることがわかっている。 ![]() 静止するベニモンカラスシジミ♂ 長野県阿南町 2020年5月28日 下の個体は5/24〜29まで同一ヶ所で観察できたもので、この蝶はあまり移動しないで♀が飛んでくるのをじっと待っているということだろう。 ![]() 静止するベニモンカラスシジミ♂ 長野県阿南町 2020年5月25日 ![]() 静止するベニモンカラスシジミ♂ 長野県阿南町 2020年5月28日 撮影ポジションの関係で逆光気味の場所に止まることが多かった。この辺りの個体群によく見られるように裏面の白線が多少乱れる個体が混じる。大量の飼育個体の結果からは、浜松市で時々見るような白線が幅広くなるような個体は出ないらしい。 ![]() 静止するベニモンカラスシジミ♂ 長野県阿南町 2020年5月28日 時々は広角でも狙える近い場所にも止まる。 ![]() 静止するベニモンカラスシジミ♂ 長野県阿南町 2020年5月28日 テリ張りを主に行う斜面を背景に撮影した。 ![]() 静止するベニモンカラスシジミ♂ 長野県阿南町 2020年5月28日 ベニモンカラスというとやはり表の赤斑を写さないわけにはいかない。そのためには静止中の個体の飛立ちをパスト連写で狙うのが最も簡単なのだが、不自然な姿になりがちである。また撮影そのものもあまり面白みがないので、できるだけ飛びまわっている姿を切り取るように心がけた。 ![]() 飛翔するベニモンカラスシジミ♂ 長野県阿南町 2020年5月28日 ![]() 飛翔するベニモンカラスシジミ♂ 長野県阿南町 2020年5月28日 とはいえ、やはりパスト連写は有効なので、できるだけ不自然さがないような姿に撮れているのを選んでみた。 ![]() 飛翔(飛び立ち)するベニモンカラスシジミ♂ 長野県阿南町 2020年5月30日 下のように草の葉に止まろうとする姿は、あらかじめ止まりそうな場所に置きピンをする必要があり思ったよりも難しい。こういう姿はパストでは撮れない。 ![]() 飛翔するベニモンカラスシジミ♂ 長野県阿南町 2020年5月30日 ![]() 飛翔(飛び立ち)するベニモンカラスシジミ♂ 長野県阿南町 2020年5月30日 テリを張っている個体のすぐ近くを別個体が通ったときには激しい卍飛翔がはじまる。大抵は手が届かないところで起こり、すぐに高いところに舞い上がってしまう。 ![]() 卍飛翔するベニモンカラスシジミ♂ 長野県阿南町 2020年5月28日 想像していたよりもテリ張り場所への執着は強いようで、撮影のために追い払う結果になっても、何度でも戻ってくるし、それが連日続く。 ![]() 静止するベニモンカラスシジミ♂ 長野県阿南町 2020年5月30日 昼頃の林辺の小さなコバノクロウメモドキの回りで見かけた新鮮な♀。 ![]() 静止するベニモンカラスシジミ♀ 長野県阿南町 2020年5月30日 クロウメモドキやその近くの草葉の上を長い間歩きまわっていた。時々、思わせぶりに腹端を曲げるのだがなかなか産卵を始めなかった。 ![]() 静止するベニモンカラスシジミ♀ 長野県阿南町 2020年5月30日 クロウメモドキに止まった時は、長い時間歩きまわったりしているのだが、それ以外の草や木の葉に止まった時は、すぐに小飛して別のところに移動する。そのためそういうときが飛翔撮影のチャンスである。表面の赤斑はごく薄い。 ![]() 飛翔するベニモンカラスシジミ♀ 長野県阿南町 2020年5月30日 ![]() 飛翔するベニモンカラスシジミ♀ 長野県阿南町 2020年5月30日 そしてようやく腹端を枝に押しつけて産卵を行った。2箇所に2卵づつ。南信濃のベニモンカラスは一ヶ所に卵を複数産む傾向があるのだが、今回は2個。 ![]() 産卵するベニモンカラスシジミ♀ 長野県阿南町 2020年5月30日 産み付けてすぐはまだ淡いグリーン色をしている。下の卵は産付した枝とは違うところのもの。通常は枝の裏側に産むのだが、この例では表である。 ![]() 産付されたベニモンカラスシジミ卵 長野県阿南町 2020年5月30日 朝方クロウメモドキの群落で蛹を探してみた。これから羽化する蛹を見つけて待てばまた面白い絵が撮れる。とりあえず2個の蛹を見つけたのだが、ベニモンの蛹は真っ黒で、羽化の兆候を外部から伺うことはできなかった。 ![]() 樹幹にいたベニモンカラスシジミ蛹 長野県阿南町 2020年5月30日 はじめに書いたが、約一週間にわたり撮影仲間が入れ替わり立ち替わり現地を訪れて調査を行った。個人的にはこれまで本種がテリを張るには日射しが大きなファクターと思っていたのだが、それよりもむしろ地形的な方が大切なようで、木漏れ日が時々当たるような場所で佇むようにテリを張ることも多かった。たとえば片側が大きく開けたような林辺ならば、♀が飛ぶコースは自ずから決まってくるので、♂はそういう場所で待っているという感じである。この辺りはさらに調査を続けてみたいところである。 〈戻る〉
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