2021年3月23〜24日 鹿児島県伊佐市 スギタニルリシジミ 1

 3月下旬のこの日、九州のスギタニルリシジミを撮影に出かけた。九州のスギタニルリは2017年に一度チャレンジしているのだが、この時は悪天候と異常な低温によりほとんどその姿を観ることなく敗退している。今回は好天で、なにより気温も高いという予報が出ているので期待して出かけた。まずは飛行機の窓から見た霧島連山 韓国岳や高千穂峰から。



 目指す河原ではすぐにスギタニルリシジミに出会うことができた。本州でいつも見るスギタニルリと比べて、裏面の白さが際立っている。またとても大きく感じられる。

静止するスギタニルリシジミ♂ 鹿児島県伊佐市 2021年3月23日
静止するスギタニルリシジミ♂ 鹿児島県伊佐市 2021年3月23日

 裏面の白さだけで見るとただのルリシジミと紛らわしいが、全般に黒点が大きくはっきりとしている。また裏面肛角付近の斑紋の融合具合はスギタニとルリの区別点にはなりにくい。

吸水するスギタニルリシジミ♂ 鹿児島県伊佐市 2021年3月23日
吸水するスギタニルリシジミ♂ 鹿児島県伊佐市 2021年3月23日

 吸水性が強いのは本州のものと同じで、水辺には多くの個体が集まる。

吸水するスギタニルリシジミ♂ 鹿児島県伊佐市 2021年3月23日
吸水するスギタニルリシジミ♂ 鹿児島県伊佐市 2021年3月23日

 吸水中に翅を広げることはほとんどないようで、V字開翅している個体を一度だけ見かけた程度である。

吸水するスギタニルリシジミ♂ 鹿児島県伊佐市 2021年3月23日
吸水するスギタニルリシジミ♂ 鹿児島県伊佐市 2021年3月23日

 河原の日当たりの良い石の上で開翅するきわめて新鮮な個体を撮影することができた。簡単に言うとスギタニルリの翅表は青色で、ルリシジミは明るい水色である。

開翅するスギタニルリシジミ♂ 鹿児島県伊佐市 2021年3月23日
開翅するスギタニルリシジミ♂ 鹿児島県伊佐市 2021年3月23日

 吸水を始めると腹端から水滴を排出するいわゆるポンピングという動作を行う個体も観られた。この個体の場合の排出間隔は16秒だった。

吸水するスギタニルリシジミ♂ 鹿児島県伊佐市 2021年3月23日
吸水するスギタニルリシジミ♂ 鹿児島県伊佐市 2021年3月23日

 24日は晴れていながら時々薄曇りになるという、絶好の開翅撮影日和になった。2枚上の23日の開翅は直射日光の下での撮影だったが、すこし雲がかかって光がやわらかくなった条件での撮影では、紫色がかった色調に写った。

開翅するスギタニルリシジミ♂ 鹿児島県伊佐市 2021年3月24日
開翅するスギタニルリシジミ♂ 鹿児島県伊佐市 2021年3月24日

 ちなみに翅表外縁の黒帯の幅の違いもスギタニルリとルリの区別点の一つだが、スギタニルリでもこのように黒帯の幅の狭い個体がおり、強い区別点ではなさそうである。

開翅するスギタニルリシジミ♂ 鹿児島県伊佐市 2021年3月24日
開翅するスギタニルリシジミ♂ 鹿児島県伊佐市 2021年3月24日

 開翅しているところを広角で撮影してみた。

開翅するスギタニルリシジミ♂ 鹿児島県伊佐市 2021年3月24日
開翅するスギタニルリシジミ♂ 鹿児島県伊佐市 2021年3月24日

 花に絡んだショットも撮りたいものと思って、林内もかなり歩いてみた。このあたりの林床にはイズセンリョウの花が無数にあり、これで吸蜜しているとするとどうにもならないと思いつつも、一縷の望みでわずかに一本だけ見つけたキブシの前でしばらく待機してみた。このキブシはあまり環境は良くないのだがイシガケチョウが一度だけ訪れただけで、スギタニルリの吸蜜などは観ることができなかったのが残念だった。また♀にかすりもしなかったのは、河原での撮影としては当然の結果だろう。

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