2021年9月5〜7日 鹿児島県鹿児島市 タイワンツバメシジミ 1
ここを訪れるのは2019年に続いて二回目である。前回は♂しか撮影できておらず、今後いつ消えてしまうかわからないような場所なので訪問してみることにした。タイワンツバメシジミの存続には食草のシバハギはもちろんだが、それ以外にも幼虫が長期間休眠するためのススキも必須とのことである。かといってススキが茂るままに任せておけば、シバハギは埋もれてしまう。
![]() 静止するタイワンツバメシジミ♂ 鹿児島県鹿児島市 2021年9月5日 ♂の撮影適期にはすでに遅く、きれいな個体は少数だけしか確認できなかった。これくらいならば及第点の鮮度である。 ![]() 開翅するタイワンツバメシジミ♂ 鹿児島県鹿児島市 2021年9月5日 広角で環境も少し入れて撮影してみた。 ![]() 開翅するタイワンツバメシジミ♂ 鹿児島県鹿児島市 2021年9月7日 天候は不安定で、昼頃に少し雨が降った。この蝶は吸水性が強く、枯葉の上に残った水滴を吸う個体が観られた。 ![]() 吸水するタイワンツバメシジミ♂ 鹿児島県鹿児島市 2021年9月5日 9/5は♀の羽化の最盛期だったようで、鮮度の良い個体がいくつも見られた。新鮮な♀は飛んでいる時から翅が真っ黒に見える。今年、少し時期を遅めにして訪問したのはきれいな♀を撮影することがねらいだったので、ちょうどよかった。 ![]() 開翅するタイワンツバメシジミ♀ 鹿児島県鹿児島市 2021年9月6日 ススキの根際に生えるナンバンギセルの花に誘引される個体を何度か見かけた。シバハギの花のピンク色に近いものを感じているのかもしれない。この♀は花の上でちょうど開翅してくれた。 ![]() 開翅するタイワンツバメシジミ♀ 鹿児島県鹿児島市 2021年9月6日 滞在した9/5〜7の3日間だけだったが、交尾個体の目撃は9/5では5〜6組に対し、9/6は1組、さらに9/7は見なかった。♀の交尾は羽化直後に行われるとすると、交尾個体の数は羽化数とある程度リンクするだろう。9/1はまだ♀の目撃はなかったようなので♀の羽化のピークは短い間に集中するようだ。シバハギの開花に合わせているのだろうけど、晩秋、冬、春、夏と長い間休眠した後で、よくこれほどにもぴったりと時期が合うものだと感心してしまう。 ![]() 交尾するタイワンツバメシジミ♂♀ 鹿児島県鹿児島市 2021年9月5日 この蝶は交尾中でも驚かせるとかなり活発に飛翔する。そのときには←♂+♀、←♀+♂の両方のパターンを観ることができた。 ![]() 交尾するタイワンツバメシジミ♂♀ 鹿児島県鹿児島市 2021年9月5日 草原にはあまり目立たないが小さな花がたくさん咲いており、そういった花での吸蜜姿を撮影した。はじめはキツネノマゴでの吸蜜。 ![]() 吸蜜するタイワンツバメシジミ♂ 鹿児島県鹿児島市 2021年9月5日 黄色いオトギリソウでの吸蜜も撮影できた。 ![]() 吸蜜するタイワンツバメシジミ♀ 鹿児島県鹿児島市 2021年9月6日 ごく細い葉のツルマメと思われる花。咲いているのさえ見逃しそうな小さな花である。 ![]() 吸蜜するタイワンツバメシジミ♂ 鹿児島県鹿児島市 2021年9月7日 シバハギと同じところに生えているネコハギの白い花には頻繁に訪れるのを確認した。 ![]() 吸蜜するタイワンツバメシジミ♀ 鹿児島県鹿児島市 2021年9月7日 ピンクのゲンノショウコの花でも吸蜜した。 ![]() 吸蜜するタイワンツバメシジミ♂ 鹿児島県鹿児島市 2021年9月7日 地面に低く生えるヤハズソウ。 ![]() 吸蜜するタイワンツバメシジミ♂ 鹿児島県鹿児島市 2021年9月7日 実はもっとも撮影しやすいと思っていたシバハギでの吸蜜は観察できなかった。ちょっと奇異に感じながら古い生態図鑑を読んでいると、訪花植物でやや頻度の少ないものとしてシバハギが挙げられていたので、そういうものなのだろう。確かに♂の発生時期にはシバハギの花は全く見られないし、♀でさえ咲きはじめの頃になるので、時期的なずれが影響していそうだ。ギフチョウではカタクリを好む個体はカタクリで、スミレを好む個体はスミレで繰り返し吸蜜するのを観察している。タイワンツバメも♂が発生する頃にはシバハギの花はまだ咲いていないので、別の花で吸蜜するという好みがすでに確立されているのかもしれない。 〈戻る〉
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