2021年12月9,11日 三重県紀宝町 ルーミスシジミなど

 この秋はルーミスシジミを見ないままに終わりそうに感じたので、少し遅めだが12月に県南部へ出かけた。三重県内で低温期のルーミスシジミを撮影できる可能性があるポイントはいくつか把握しているが、いずれも熊野市(旧紀和町)内ばかりなので、私にとっての新ポイントの開拓を試みてみた。
 今回は下のような日当たりの良い斜面に目星をつけたものの、ここにルーミスが降りてくるかどうかはバクチのようなものである。



 朝から日差しが強かったせいか、10時ころにはムラサキシジミが飛来して開翅した。やや小型の個体だったので、一瞬ルーミスと見間違えた。

開翅するムラサキシジミ♀ 三重県紀宝町 2021年12月9日
開翅するムラサキシジミ♀ 三重県紀宝町 2021年12月9日

 続いてテングチョウが飛来した。こういうメンバーが現れたことで、この場所は蝶が集まる環境であることが確認できた。これでこの場所で粘ってみようという気持ちになれる。

開翅するテングチョウ 三重県紀宝町 2021年12月9日
開翅するテングチョウ 三重県紀宝町 2021年12月9日

 目論見通りにルーミスが樹上に現れたのは11時20分頃で、2頭がほぼ同時だった。しばらく枝先で開翅していた。

開翅するルーミスシジミ♂ 三重県紀宝町 2021年12月9日
開翅するルーミスシジミ♂ 三重県紀宝町 2021年12月9日

 その後、ストンと落ちるように地面に降りて日光浴を始めた。この時期の紀伊半島産のルーミスシジミは翅のキズが多いという認識なのだが、この個体はかなりきれいな方だ。この秋は台風などの接近がなかったのが原因なのかなどと考えてしまう。

開翅するルーミスシジミ♂ 三重県紀宝町 2021年12月9日
開翅するルーミスシジミ♂ 三重県紀宝町 2021年12月9日

 続いてもう一頭も降りてきたものの、100mmマクロで接近したことで驚かせたせいかすぐにまた樹上に舞い戻ってしまった。二頭はなぜが同じ石の上に降りてきた。すぐ近くには良さそうな灌木もあり石もいくつも転がっているのだが、なにかルーミスを惹き寄せる微妙な要因があるのだろうか。

開翅するルーミスシジミ♀ 三重県紀宝町 2021年12月9日
開翅するルーミスシジミ♀ 三重県紀宝町 2021年12月9日

 結局この日は、一瞬の撮影機会でおしまい。このあとムラサキツバメも飛来したが、撮影することはできなかった。副産物としては帰り道でヤマトシジミの♀の少し青い個体を撮影しただけ。

開翅するヤマトシジミ 三重県熊野市 2021年12月9日
開翅するヤマトシジミ 三重県熊野市 2021年12月9日

 この二日後の12月11日にもう一度、紀宝町へ出かけた。翌週からは本格的に寒くなるという予報なので、お天気を考えると事実上この日が今年のルーミスの最終チャレンジになる。近くの和歌山県新宮市の気象データを見るとこの日の方が9日よりも3℃くらい最高気温は高かったのだが、微妙な風の向きのせいか気温の上昇は鈍かった。ムラサキシジミは降りてこず、テングチョウの活動も鈍かった。そしてようやく現れたルーミスシジミは翅全面がキズだらけの個体。紀伊半島でもここまで酷い個体を見ることは少ないが、これであきらめがつくというもの。

開翅するルーミスシジミ 三重県紀宝町 2021年12月11日
開翅するルーミスシジミ 三重県紀宝町 2021年12月11日

 高温期のルーミスを探すには雰囲気が良さそうな林道や谷筋を歩くことになる。つまり探す範囲は二次元である程度の広がりがある。それに対して低温期の場合は、ピンスポットであることが多く、そこに難しさがありまた面白いところでもある。また気温の微妙な違いも結果を左右する大きな要因になりそうなので、来シーズンはもう少し早い時期から探してみることにしよう。

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