2022年9月27日〜10月4日 沖縄本島 9 フタオチョウ

 今回の撮影では沖縄本島のシンボルというべきフタオチョウについてはあまり意識していなかった。それは9月末という時期が本種にはちょっと遅めと考えていたためである。
 でも今回の撮影旅行の一番はじめに撮影した蝶はこのフタオチョウだった。占有行動をとっていたが後翅に少しカケがある個体だった。

静止するフタオチョウ♂ 沖縄県南城市 2022年9月27日
静止するフタオチョウ♂ 沖縄県南城市 2022年9月27日

 数日後、本島北部で4年前と同じ場所でテリ張りする♂を見つけた。この個体はかなり破損が進んでいる。

静止するフタオチョウ♂ 沖縄県今帰仁村 2022年10月3日
静止するフタオチョウ♂ 沖縄県今帰仁村 2022年10月3日

 ここで試したかったのは、今年から使い始めているカメラ(OM-1)での鳥認識AFの効果。こういう背景がすっきりとヌケた場所なら効果的ではないかと思った通り、非常に良くピントが合ったが、破損個体だったので深追いはしなかった。

飛翔するフタオチョウ♂ 沖縄県今帰仁村 2022年10月3日
飛翔するフタオチョウ♂ 沖縄県今帰仁村 2022年10月3日

 飛翔撮影を試みた日の数日前のこと、樹上高く飛ぶフタオチョウの飛翔を眺めているとき、突然一頭の♀が低い食樹に舞い降りてきた。

静止するフタオチョウ♀ 沖縄県今帰仁村 2022年9月28日
静止するフタオチョウ♀ 沖縄県今帰仁村 2022年9月28日

 この♀はしばらく枝葉にまとわりつきながら飛んでいたが、そのうちに葉陰に潜り腹を曲げて産卵をしているようにみえた。

産卵するフタオチョウ♀ 沖縄県今帰仁村 2022年9月28日
産卵するフタオチョウ♀ 沖縄県今帰仁村 2022年9月28日

 そのとき近くを飛んでいた♂がこの♀を見つけたのか、接近してきた。低いところを飛んでいた♂は見ていなかったので、かなり高いところからでもめざとく♀を見つけられるのかもしれない。

求愛飛翔するフタオチョウ♂♀ 沖縄県今帰仁村 2022年9月28日
求愛飛翔するフタオチョウ♂♀ 沖縄県今帰仁村 2022年9月28日

 ♂はしばらく♀の周りを飛んでいたが、何も反応しない♀にあきらめたのか上空へ飛び去った。

求愛飛翔するフタオチョウ♂♀ 沖縄県今帰仁村 2022年9月28日
求愛飛翔するフタオチョウ♂♀ 沖縄県今帰仁村 2022年9月28日

 ♂がいなくなったあとも♀はしばらくそこに留まっていたが、再び産卵することなく飛び去ってしまった。

開翅するフタオチョウ♀ 沖縄県今帰仁村 2022年9月28日
開翅するフタオチョウ♀ 沖縄県今帰仁村 2022年9月28日

 ♀が飛び去ったあと、同行者が枝葉をかき分けて葉表に産付された卵を見つけてくれた。この木はリュウキュウエノキだと思うが葉縁の鋸歯が小さくちょっと違和感がある。

フタオチョウ 卵 沖縄県今帰仁村 2022年9月28日
フタオチョウ 卵 沖縄県今帰仁村 2022年9月28日

 少し卵を拡大してみた。ちょっとわかりにくいが上部が扁平で上下さかさまに生み付けられたような、図鑑で見覚えのあるフタオチョウの卵があった。

フタオチョウ 卵 沖縄県今帰仁村 2022年9月28日
フタオチョウ 卵 沖縄県今帰仁村 2022年9月28日

 以前はフタオチョウに対して憧れにも似た気持ちがあったが、このところそういう感覚は薄れつつある。私が蝶を始めた頃には沖縄本島北部にだけ分布していた稀種だったはずなのだが、最近では沖縄本島南部や奄美大島でも普通に飛ぶようになった。むしろ奄美ではアカボシゴマダラを撮影する上で邪魔な存在にさえなりつつある。蝶に罪はないとはいえ、ちょっと興ざめである。

 〈戻る〉