2023年8月 長野県木曽町 ヤマキチョウ 続

 コオニユリやナデシコが点々と咲いているススキの原っぱから園芸植物の花がたくさん咲いている場所へ移動して撮影した。例年のヤマキチョウは個体数が少なく、これまでは花をたくさんつける園芸植物の強力な集蝶効果を期待して、こういった花で撮影することが多かった。

 色鮮やかな原色の花にとまるとヤマキチョウの翅色がそれに負けてしまうようなのが残念である。 ここではフロックスの花が多いので、これで吸蜜する姿を見かけた。


吸蜜するヤマキチョウ♂ 長野県木曽町 2023年8月11日

 フレンチマリーゴールドの花も好みのようで、長い間吸蜜を繰り返していた。ここのマリーゴールドには黄色とオレンジ色の花が咲いているのだが、止まるのはいつも黄色ばかりだった。別の日に異なる場所での観察でも同じだったらしいので、個々の蝶の個性というよりはヤマキチョウの性質なのだろう。オレンジ色はこの蝶が好むコオニユリの花と同じような色なのだが、なぜか止まることがない。人間の目には同じ色に見えるだけなのだろうか。それとも本来は黄色が好きなのだが、ススキの原っぱには吸蜜できる黄色い花が無いということなのだろうか。


吸蜜するヤマキチョウ♀ 長野県木曽町 2023年8月11日

 フロックスの周りを飛ぶ姿を撮影した。


飛翔するヤマキチョウ♂ 長野県木曽町 2023年8月11日

 珍しく2頭の♂が出会って追尾飛翔しているのを撮影できた。こういう光景を見るのは初めてだった。


飛翔するヤマキチョウ♂ 長野県木曽町 2023年8月11日

 淡い紫のベルガモットの花の上を飛ぶ♂。黄色い翅との色彩のバランスが良かった。背景を埋め尽くすように咲いているのは園芸植物ならでは。


飛翔するヤマキチョウ♂ 長野県木曽町 2023年8月11日

 少し開けた空間を飛ぶ姿を広角で撮影した。


飛翔するヤマキチョウ♂ 長野県木曽町 2023年8月11日

 最後に青い空を背景にマリーゴールドの花で吸蜜する姿を掲載しておく。強い色ばかりの組み合わせで眼が疲れてしまうような画像だが、こういうのもヤマキチョウの一つの姿である。


吸蜜するヤマキチョウ♀ 長野県木曽町 2023年8月11日

 今年のヤマキチョウは好調のようだ。好調といってもこの蝶を狙って出かけても空振りをしてしまうことが少ないという程度で、いくつもの個体が飛んでいるという状況ではない。こうして何枚もヤマキチョウの写真を並べているが、基本的には同じ個体を追い続けて撮っているだけである。また撮影の日付からわかるように自然環境での撮影を含めて、四日間もかかっている。この蝶を撮るには晴天の正午前後に日射しを遮るものがない暑い草地を歩き回る必要があり、いくら信州の高原とはいえ、体にはかなり厳しい撮影になる。

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