2019年8月29日〜9月3日 鹿児島県奄美大島 ナガサキアゲハ(有尾型)

 オキナワカラスアゲハとともに奄美で撮影したかったアゲハはナガサキアゲハ。下のような半ば放棄されたようなビニールハウス脇のハイビスカスの垣根あたりで飛来を待った。この蝶もすぐに破損するようなイメージがあるが、さいわいにも新鮮な個体に何度か遭遇した。



 ♂はそれほど変異はなく、どれも同じように見える。

吸蜜するナガサキアゲハ♂ 鹿児島県奄美大島 2019年9月1日
吸蜜するナガサキアゲハ♂ 鹿児島県奄美大島 2019年9月1日

 湿った地面で吸水する♂を見かけた。本種の吸水性は他のアゲハに比べて弱いので目撃することはあまりないようだ。

吸水するナガサキアゲハ♂ 鹿児島県奄美大島 2019年9月1日
吸水するナガサキアゲハ♂ 鹿児島県奄美大島 2019年9月1日

 ♀の朝の活動は♂が飛び始める前に始まるように見える。またスコールのあと、雨が上がり始めると♀は♂を避けるかのようにいち早く吸蜜に訪れるが、こういう状況は昨年の沖縄本島でも見ることができた。奄美や沖縄の♀は白いというが実際はいろいろな段階のものがいる。下の♀はこの辺りではかなり黒い部類の個体だろう。

吸蜜するナガサキアゲハ♀ 鹿児島県奄美大島 2019年9月2日
吸蜜するナガサキアゲハ♀ 鹿児島県奄美大島 2019年9月2日

 下はもう少し白い部分が広い個体。

吸蜜するナガサキアゲハ♀ 鹿児島県奄美大島 2019年9月2日
吸蜜するナガサキアゲハ♀ 鹿児島県奄美大島 2019年9月2日

 さらに前翅の白い部分がもう少し広くなった個体。

吸蜜するナガサキアゲハ♀ 鹿児島県奄美大島 2019年9月3日
吸蜜するナガサキアゲハ♀ 鹿児島県奄美大島 2019年9月3日

 ニガウリの花で吸蜜しようとしているが、花が萎れている。ニガウリの花の首はナガサキアゲハを支えるには細すぎるためか、翅の羽ばたきを止めなかった。そのため翅がブレていてわかりにくいが、白い部分は前翅の端まで広がっている。

吸蜜するナガサキアゲハ♀ 鹿児島県奄美大島 2019年9月1日
吸蜜するナガサキアゲハ♀ 鹿児島県奄美大島 2019年9月1日

 ちょっと鮮度が悪いが、翅のほとんどが白くなった個体。後翅肛角のオレンジ斑は翅の白化度に反比例するような印象があり、この個体ではあまり明瞭ではない。

吸蜜するナガサキアゲハ♀ 鹿児島県奄美大島 2019年9月2日
吸蜜するナガサキアゲハ♀ 鹿児島県奄美大島 2019年9月2日

 そしてついに有尾型の♀を撮影することができた。雨上がりの光の十分ではない時の飛来だったので、きれいには撮影できなかったのが残念だった。

吸蜜するナガサキアゲハ♀有尾型 鹿児島県奄美大島 2019年9月2日
吸蜜するナガサキアゲハ♀有尾型 鹿児島県奄美大島 2019年9月2日

 3月に撮影した時はボロボロの半分以上破損した翅からは判断ができなかったので、腹部の色調から有尾型だと推定したが、さすがに大きな声では言えないような代物だった。しかし今回はちょっとピンボケではあるもの、間違いなく有尾型である。

吸蜜するナガサキアゲハ♀有尾型 鹿児島県奄美大島 2019年9月2日
吸蜜するナガサキアゲハ♀有尾型 鹿児島県奄美大島 2019年9月2日

 このあと有尾型の♀は林の上を緩やかに飛んでどこかへ行ってしまった。さらなる飛来を期待して雨の中を待ち続けたが、再度の飛来はなかった。

 雨が止む直前にハイビスカスの花を訪れた普通型の♀。雨粒が写っている。

飛翔するナガサキアゲハ♀ 鹿児島県奄美大島 2019年9月3日
飛翔するナガサキアゲハ♀ 鹿児島県奄美大島 2019年9月3日

飛翔するナガサキアゲハ♀ 鹿児島県奄美大島 2019年9月3日
飛翔するナガサキアゲハ♀ 鹿児島県奄美大島 2019年9月3日

 朝早くは♀が近くにいても関心を示さない♂が多いが、時間が経つと次第に追尾飛翔などをするようになる。

求愛飛翔するナガサキアゲハ♂♀ 鹿児島県奄美大島 2019年9月3日
求愛飛翔するナガサキアゲハ♂♀ 鹿児島県奄美大島 2019年9月3日

 春からの懸案であったナガサキアゲハの有尾型♀を何とか撮影することができた。同時に見た普通型の♀は10頭近くはいたので、ここでの有尾型の発生率はそれほど高くはないのだろう。

 〈戻る〉