2020年7月後半 三重県いなべ市 キリシマミドリシジミ
信州方面へはなかなか出かけられない雨続きの7月は鈴鹿山地のキリシマミドリシジミを集中して撮影に行った。自宅から近いので毎年この蝶の撮影には出かけているのだが、なかなかいい写真が確保できないでいる。理由は各地で蝶のハイシーズンになるこの時期に時間をかけてこなかったということである。キリシマの個体数が多くない今年は一度の撮影行だけである程度の量の写真が確保できないので、ひとシーズン分をまとめて撮影記録としておくことにした。
キリシマミドリの食樹はアカガシであるが、ちょうどこの時期は小さいドングリを付けた樹が多く見られる。 ![]() 鈴鹿山地のキリシマは7月入ると発生を始めるとされているが、はじめは不活発で目にする機会は少ない。そして中旬になるとすでにスレ始めている個体もよく見かけるようになる。 ![]() 静止するキリシマミドリシジミ♂ 三重県いなべ市 2020年7月16日 下の♂は前翅の外縁に小さなカケがあり、羽化後の時間がかなり経過したような感じである。発生初期の個体は以前にも撮影しているが、それに比べると何より肛角の橙色斑が薄くなってきているし裏面の黒い線条もぼやけている。今年はもう少し早い時期から撮影に出かけるつもりだったのだが、あいにくの雨続きでそれが出来なかった。 ![]() 静止するキリシマミドリシジミ♂ 三重県いなべ市 2020年7月22日 アカガシの葉上で開翅した個体であるが、向こうをむいているので輝きも弱いし、青みが強くキリシマらしい色調には写っていない。 ![]() 開翅するキリシマミドリシジミ♂ 三重県いなべ市 2020年7月20日 下はフジの葉上での開翅。見下ろしで前から撮っているので輝きは強くでるが、角度が浅いので本種の金緑色の色調にはほど遠い。本種が飛んでいるのを真上から見ると、まさに輝きの強い金緑色で感動的でさえある。 ![]() 開翅するキリシマミドリシジミ♂ 三重県いなべ市 2020年7月22日 ♂に比べると♀は木陰にいることが多く、また不活発なためか♂に比べて鮮度が良い個体を見かける。 ![]() 静止するキリシマミドリシジミ♀ 三重県いなべ市 2020年7月16日 ![]() 静止するキリシマミドリシジミ♀ 三重県いなべ市 2020年7月22日 ![]() 静止するキリシマミドリシジミ♀ 三重県いなべ市 2020年7月22日 今シーズン一番のラッキーともいうべき♀の開翅姿。早朝にアカガシの梢から降りてきて、足もとの下草に静止し開翅した。橙色斑が無い個体でいわゆるB型である。 ![]() 開翅するキリシマミドリシジミ♀ 三重県いなべ市 2020年7月16日 同一個体だが角度を変えてもう一枚。こちらの姿勢の方がいいと思う。このあとすぐに高いところに飛び去ってしまった。EXIFを確認すると蝶が下草に降りていたのはわずか2分10秒。そのときに、たまたまそこに居合わせたのは幸運だった。 ![]() 開翅するキリシマミドリシジミ♀ 三重県いなべ市 2020年7月16日 つぎに飛翔する姿を撮影。キリシマは高いところを飛翔するので望遠レンズを振り回すことになる。さらに高速で飛ぶので画面に入れること自体が難しい。蝶までの距離が出来るだけ近いところで撮影しているので、ゴマ粒のような大きさしかに写らないというようなことも無いのだが、やはりトリミング必須の大きさになる。 ![]() 飛翔するキリシマミドリシジミ♂ 三重県いなべ市 2020年7月28日 上に書いたようにカメラと翅の角度で輝きと写る翅色は微妙に異なる。下のように後方から姿を捉えると、翅色はやはり青みが強く写る。 ![]() 飛翔するキリシマミドリシジミ♂ 三重県いなべ市 2020年7月28日 表と裏が同時に見えるショット。この角度で撮影するとカメラと翅の角度が大きくなるので、キリシマらしい金緑色に近い色調に写る。しかしほぼ真横からの撮影なので翅の輝きは強くない。 ![]() 飛翔するキリシマミドリシジミ♂ 三重県いなべ市 2020年7月28日 前方からだと翅の輝きは強くなる。 ![]() 飛翔するキリシマミドリシジミ♂ 三重県いなべ市 2020年7月28日 飛翔を撮影できた♂のうち半分以上はスレやカケがある。そのなかでこの個体はきれいだったので少し拡大してみた。ただ残念ながら色調は青っぽくなっており、不満足。 ![]() 飛翔するキリシマミドリシジミ♂ 三重県いなべ市 2020年7月28日 追尾飛翔するキリシマの♂。追尾されているのがキリシマの♀だったらよかったのだが、残念ながらムラサキシジミである。でもムラサキシジミの色彩の感じはキリシマの♀に似ていないことも無いためか、この♂はこのムラサキシジミを追いかけて視界から消えていった。 ![]() 飛翔するキリシマミドリシジミ♂ 三重県いなべ市 2020年7月28日 蛇足ながら、最後にキリシマミドリ撮影の副産物のエゾミドリシジミ。どこからか飛んできて葉陰に静止した。鈴鹿山地にいるファボニウスはオオミドリとエゾミドリのはずであるが、オオミドリは見たことがなく、エゾミドリもまともに撮影したのはこれが初めて。撮影機会はキリシマよりはるかに少ない。 ![]() 静止するエゾミドリシジミ♀ 三重県いなべ市 2020年7月21日 7月の後半に何度もキリシマミドリの撮影に出かけた。キリシマの山の近くに住んで30年以上になるが、今年ほど何回も出かけたことは無くそれなりに面白かった。来年以降の撮影につながるヒントも得られたし、飛翔姿を撮影した日の個体の過半はスレ、ボロだったので、今年のキリシマチャレンジはこれで終了することにした。 〈戻る〉
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