2020年8月6、7日 三重県熊野市 ルーミスシジミ
長かった梅雨が明けて猛暑が予想された8月の上旬に夏のルーミスシジミを撮影に行った。このような早い時期に出かけるのは初めてである。この時期を狙ったのは、もちろん翅表の傷がなく縁毛が揃ったとびきり美しい個体を撮影するためである。
下のような岩がごろごろとした谷筋がポイントで、ルーミスシジミは暑い日はこのような場所に涼みに降りてくる。 午前10時前、樹林の中からチラチラとルーミスが舞い降りてきて、照葉樹の低い木の葉に止まる姿が見られる。この時期のルーミスは縁毛もかなり揃っている。 静止するルーミスシジミ 三重県熊野市 2020年8月7日 暗い所に止まるので通常ならばフラッシュを灯けたいところだが、そうすると目玉が「のび太君」になってしまうので、手ぶれを気にしながら自然光のみでの撮影である。 静止するルーミスシジミ 三重県熊野市 2020年8月7日 谷底の岩に静止する個体。特に吸水しているということでもなく、単に涼んでいるという感じ。たしかに谷底にいるとそれほど暑くはなく、むしろ快適でさえある。ルーミスの裏面の色調にはいろいろあり、下の個体はかなり明るいもの。 静止するルーミスシジミ 三重県熊野市 2020年8月7日 谷にはかすかに風が吹いており、シダのような葉に止まるとルーミスは細かく揺れる。ただでさえ低速シャッターによる手ぶれがあるのに、そこに被写体ぶれが加わり、撮影をさらに難しくしている。 静止するルーミスシジミ 三重県熊野市 2020年8月7日 少し背景を入れて撮影してみた。LED光源で照らしているので明るく見えるが、実際はかなり暗い環境である。 静止するルーミスシジミ 三重県熊野市 2020年8月7日 谷に降りてきたルーミスは非常に敏感で、こちらの動きを察するのかなかなか撮影射程距離まで近づけないことが多い。でもそんな中で極端に鈍感になるときがあり、止まっている枝葉を手で引きよせても全く動かないこともある。下の写真などは蝶までの距離は数センチだったが、蝶は全く逃げる様子がない。この敏感さの変化が起こる理由はよくわからない。 静止するルーミスシジミ 三重県熊野市 2020年8月6日 蝶が涼むのに好ましい樹は、高さや風の通り具合などある一定の条件があるのだろう。そういう条件に合った樹では手の届く範囲に複数の個体が接近して止まることもある。 静止するルーミスシジミ 三重県熊野市 2020年8月7日 この時期のルーミスは開翅をすることはほとんど無いので、飛翔姿を狙うことで翅表の撮影とした。 飛翔するルーミスシジミ 三重県熊野市 2020年8月7日 たしかにこの時期のルーミスはキズも少なく、翅表の黒い部分も艶があるのできれいに見える。 飛翔するルーミスシジミ 三重県熊野市 2020年8月6日 秋に紀伊半島で撮影できるルーミスは房総半島のものに比べて翅表にキズが多いように思う。でもさすがにこの時期の個体ならば鮮度に関してはほぼ満足できる。しかし翅外縁の縁毛は期待したほどには揃っていない個体も多かったので、もっと早い時期のチャレンジが必要だと感じた。 飛翔するルーミスシジミ 三重県熊野市 2020年8月7日 飛翔するルーミスシジミ 三重県熊野市 2020年8月7日 下は開翅ではなく、飛び立ち写真である。いろいろ工夫して飛んでいる姿を狙ってみたが、やはり足場が悪く蝶自体もチラチラと見にくいため撮影はかなり難しかった。結局、プリキャプチャーを使って撮影した下の写真が一番きれいに撮れていた。 ルーミスシジミ飛び立ち 三重県熊野市 2020年8月6日 上の写真の蝶を拡大してみた。翅表に傷がなくピントも決まっており、とてもきれいな個体だった。後翅の青い部分が狭いのでおそらく♂と思われる。 ルーミスシジミ飛び立ち 三重県熊野市 2020年8月6日 (上の拡大) これまでルーミスシジミは秋に開翅を狙って出かけることが多かったが、羽化後すでに数ヶ月経過しているので傷が目立つ個体が多かった。そこで2017年の8月に避暑で降りてくる個体を狙って撮影してみた。そのときもLEDの自作光源を使ったのだが、いろいろ課題も見えてきていた。そこでそれらを改善して撮影に臨んだのが今回の写真である。これで何とかきれいなルーミスシジミの写真を撮影することができたので、今年のルーミス作戦は大成功! 〈戻る〉
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