2022年9月27日〜10月4日 沖縄本島 16 バナナセセリ
バナナセセリは昨年の10月に石垣島でかなり集中して撮影し、その結果として基本的な撮影方法は確立できている。夜討ち朝駆けのようなバナナセセリの疲れる撮影は石垣島でもう十分と思っていたのだが、図鑑によると石垣島産と沖縄本島産とは斑紋が異なるということである。「それならば何とか撮影したい」ということで、今回の旅行でどうしてもおさえておきたい種となった。
バナナセセリは日の出、日の入り前後に活発に飛び回ることはすでに石垣島で経験済みであるが、それはバナナ林の開けた明るい側の林辺に飛び出す時刻のことのようだ。夕刻、まだそのような暗さになる前にバナナの林の中に潜り込んでみると、すでに葉陰で暗くなった空間をぐるぐると飛ぶ個体がいることがわかった。そういう個体を下から撮影してみた。 飛翔するバナナセセリ♂ 沖縄県大宜味村 2022年10月3日 見ていると活発に飛び回るバナナセセリも、突然まえぶれもなく葉に止まることがあった。そういうときには飛翔撮影用のカメラシステムを置いて、静止用カメラを手にとって撮影した。こういう動きはけっこう忙しい。 静止するバナナセセリ 沖縄県大宜味村 2022年10月2日 バナナの花は毎日新しい花弁を付けるが、この花で吸蜜する姿を撮影することができた。 吸蜜するバナナセセリ 沖縄県大宜味村 2022年10月3日 次は補助光を十分に使って撮影しているが、目が妖しく赤く写っている。 吸蜜するバナナセセリ 沖縄県大宜味村 2022年10月2日 下の個体は前翅の外縁が少し欠けていて残念なのだが、今回の撮影では新鮮な個体が多かった。この展翅のような姿を見ると、確かに前翅黄斑の形は石垣島産(下)とは異なっているのがよくわかる。 飛翔するバナナセセリ 沖縄県大宜味村 2022年10月2日 石垣島産のバナナセセリ バナナの葉に止まって口吻を伸ばしている個体がいたが、なぜだろうか? 静止するバナナセセリ 沖縄県大宜味村 2022年10月2日 バナナの花の近くを飛翔する個体。耳元を飛ぶとブンと羽音さえ聞こえるバナナセセリのスピード感が表現できた。昨年の石垣島での撮影ではEM1-Uのローリングシャッター歪みによる翅の歪みが気になり、途中からメカシャッターに切り替えたのだが、今回のOM-1ではほとんど気にならなかったので、電子シャッターのまま撮影を続けた。 飛翔するバナナセセリ 沖縄県大宜味村 2022年10月2日 バナナの花に止まる個体とその傍らを飛翔する個体のツーショット。蝶がいずれも新鮮であり、ピント、バランスもよいので今回の撮影行のお気に入りの一枚なのだが、画としてはちょっとおとなしすぎると感じている。 飛翔するバナナセセリ 沖縄県大宜味村 2022年10月3日 同じ一連の続きのショット。蝶が端に寄ったのでトリミングをしてみた。このショットは飛んでいる個体の視線がバナナの花の方を向いているので、画としてのまとまりがあるところを推したい。一般にはあまり美しいとは思われていない本種だが、これだけ新鮮な個体だとその評価が変わるかもしれない。 飛翔するバナナセセリ 沖縄県大宜味村 2022年10月3日 こちらに向かってくる姿の正面ショット。ジャスピンの画像が得られたが、まるで蛾のようだ。 飛翔するバナナセセリ 沖縄県大宜味村 2022年10月2日 時には卍飛翔も見ることができた。 飛翔するバナナセセリ 沖縄県大宜味村 2022年10月2日 バナナの葉陰で産卵する♀を見ることができた。時刻は18:31。目視ではもはや蝶の姿が捉えにくくなる頃である。 産卵するバナナセセリ♀ 沖縄県大宜味村 2022年10月1日 撮影がすべて終了したあと、ライトで照らして卵を撮影した。 産付されたバナナセセリの卵 沖縄県大宜味村 2022年10月1日 夕刻、バナナの茂みを飛んでいた個体が空間に突き出した葉の枯れた部分に潜り込んだ。そっと近づいて覗いてみたところ、葉の裏側にはすでに別個体も静止しており、二頭が接近して休んでいた。時刻は18:15なのでちょっと早めの就寝のようだった。 静止するバナナセセリ 沖縄県大宜味村 2022年10月4日 バナナセセリは1971年に沖縄本島で確認され、ベトナムからの米軍による移入というのが定説とされる。石垣島へはかなり遅れて2004年から観察されているようだ。沖縄本島産が石垣島へ侵入したものと私は単純に考えていたのだが、沖縄本島産と石垣島産とでは斑紋が異なるというので、その出所は違うのだろう。一般にはあまり人気がないと思われるバナナセセリなのだが、飛翔撮影は非常に面白いし、新鮮な個体はやはり美しい。こういう光量が乏しい撮影を強いられる蝶というのは他にはあまり見当たらず、ほとんどこの蝶専用というような補助光源を準備する必要があるのだが、その撮影はエキサイティングである。 〈戻る〉
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